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2012年2月

くだらないお話

先日総武線に乗り、目を閉じてうつらうつらしていたときのこと。

どこかの駅に電車が停車し、プシューッと扉が開く音がする。走ってはドアが開き、閉じては走るという単調な音は同じようなリズムでつづく。

が、その規則はやぶられた。

プシューッと開いた瞬間、ドスンドスンドスドスドスッみたいな地響きとともに、巨大な塊がわたしのそばへ近づいてきた。

目を閉じていたわたしは、恐怖感で目をあけた。

ドアが開くとともに、太った巨漢の男性がわたしの左隣の席めがけて全力で突進してきたのだ。

まるでSWATが、犯人の立てこもる事件現場に突入したような素早さだった。

びっくりした。

数日前に新宿駅で女性による通り魔殺人があったばかりだから勘弁してよーと思いつつ、また目をとじた。

となりの巨漢は終始何やらブツブツ呟いている。

怖いので目をとじてじっとしていた。

周囲のひとたちも警戒しているようだった。

やがてわたしの下車駅に着き、わたしが立ち上がるそぶりをみせると、

わたしの右隣の若い女性が不自然にそわそわしだした。

わたしが降りてしまうとバリケードがなくなり、ひとつ席をとばして巨漢席となるからだろう。

「ごめんなさい、わたしは降りますよ」と心で謝って無事に脱出したのだった。

これはもう中毒になるでしょう

Photo_2

上の絵は以前コム用に描いたもの。タイトルは「考えている」

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先週、三軒茶屋シアタートラムへ、万有引力の「奴婢訓」を観にいった。

作・演出 寺山修司

演出・音楽 J・A・シーザー

天井桟敷の血を受け継ぎ、未だ観られる幸せ。

一秒たりとも飽きさせない、何これ、何これ、次は何だ、次は何だの連続。

こうして夢中になっているとふいに聴覚を攻撃されるのだ。

「演劇で革命は起こせるか」という寺山修司の問いを思い出し、「起こせる」と呟いてしまった。

この視覚、聴覚へのショックは常習的に自分へ与えたくなった。

この魅力はすごい。

魅力といえば、府中市美術館での横尾忠則氏の公開制作時、質問コーナーがあった。

マイクでお話しされている最中、最前列ど真ん中の客が自分の顔の前に手を出し、横尾氏の絵のパースを確認しはじめた。

とても失礼な行為である。

それをちらりと見た横尾氏は

「ぼくは美術の専門の勉強はしてませんから…絵を教養で見ようとする人がいますが、

絵はおもしろいかおもしろくないかです」とおっしゃっていた。

うまくても魅力がないと駄目なのだ。

天井桟敷の初期団員であった横尾氏の絵も、万有引力の演劇(もはや演劇の枠にとどまらないが)にも、すっかりココロをグリップされてしまったわたしなのだった。

山田花子回顧祭へ

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14日 ブックギャラリーポポタムにて、山田花子回顧祭を見てきた。

お笑いの山田花子ぢゃないです。

今は亡き漫画家の山田花子さんです。

日々の煩悶を作品にぶつけ、込められている世界は半端じゃない。

原画や私物の展示を見たわけなのだが、

当時の思いや念はまだこの世にあるように感じられて仕方ない。

帰り道、雨の目白庭園(上の写真)に入る。

誰もいない回遊式の庭をひっそりと歩く。

すっかり体が冷え切ってしまったので、目白駅前の喫茶店「伴茶夢」に入る。

屋号にはCAFEと記されているが、入り口も店内も純喫茶の趣で◎。

ブレンドコーヒーのお味はまろやか系。

ふと、明日館も見学したかったのを思い出す、雨のひとり喫茶。

昨日から14期コムがはじまり、その帰り久しぶりに親父系居酒屋へみんなで入る。

とても温かい呑みの席であった。

ゆくりなく

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上の絵は以前、三島由紀夫の「夏子の冒険」を読んで描いたもの。

先日、古民家をお店にしたスープカレー屋へ入った。

戸を開けて、小さな玄関ですぐ靴を脱いで上がる。

およそ下駄箱とは呼べぬ奥行き10cmの飾り棚に

落ちないよう一足ずつ靴を置く。

2階もあるようだが、1階カウンター席へ通される。

オードリー・ヘプバーンのポスターが数枚、わたしの目の前に貼ってある。

黒カレーハンバーグ?を注文。

BGMは90年代ジャパニーズポップス。

Why?

この店には不似合いじゃないかしら。

90年代の音楽がバンバンかかるんだけど

ぜんぜんわからぬ。

TVで街中で流れていても、あのころずっと聞き流していた種類の音楽たち。

それもそのはず。

わたしは「たま」に夢中だったのだから。

帰り際、スープカレー屋の狭い玄関で靴紐を結ぼうとかがんだ瞬間、

小さく小さくよろけた。

ゴチッとガラス戸におでこをぶつけた。

ありがとうございましたーと丁寧に見送っていた店員さんに目撃されただろうか。

こういうダサイことって何年ぶりか。

いや、こんなこと気にしてるほうがダサイね。

人ひとり立てば一杯になるあまりに狭い玄関で

よろけ具合の距離感つかめませんでした。

今日9日、出先でゆくりなくもあの方に出会った。

こんなことって偶然起こることなのか。

神のいたずらだろうか。

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