旬な岡山 たたり編 その2 ~終わりよければすべてよし~
目の前に多治見家が現れた瞬間、どうやっても思い出せなかった八つ墓村の、芥川也寸志の音楽が脳内に響いた。
とうとう来たんだ…
一眼レフを山本さんに渡し、念願の山本陽子の立ち位置で写真を撮ってもらう。
もちろん小型のデジカメで動画も撮る。
写真と動画、2台で記録をする。
(声が届くなら、このときの自分に言いたい。“カメラのモードを確認しろ”と)
頭上に広がる石垣の屋敷を前に、舞い上がっていたのだ。
画像確認もおろそかに、広兼邸へ足を踏み入れる。
限られた時間の中で、それなりに満喫できた。
横溝正史ファン向けの冊子が売られていたのでそれも買った。
時刻は14時40分。
ああ、またあの道を歩いて引き返すのか…
山本さんとふたり、数組の広兼邸観光客に、車に同乗させてはいただけないか聞いてみたが、反対方向へ帰る方たちばかりであった。
仕方なく覚悟を決めて歩き出すと、うしろから農家のおじさんが、白い軽トラックを走らせてくるではないか。
ヒッチハイクを試みる。
停まってくれたおじさんの家はすぐそこ。けれどおじさん、バス停まで送ってやるよと言ってくださった。
やったー、ありがとうおじさん!と軽トラックの荷台にふたりであがる。
軽トラックは走り出すと、クネクネした道を猛スピードで走り抜ける。
怖いよー、おじさん、振り落とされる~すごい加速。
わははは笑って必死でつかまりながら片手で動画を撮る。
あー、もう早い早い。
あの歩いた道のりはなんだったんだー
ふたりで笑いがこみ上げる。
あっけなく、15分程度で着いてしまった。
終始ニコニコのおじさんに感謝。
記念に写真を撮って、手を振ってお別れをした。
時間にも余裕がでて、バスの時間までお土産を買い、ベンガラ郷土館など見学できた。
思いがけず、山あり谷ありなことが、あとで振り返ると色濃い思い出になるもんだよな、なんて
これまでの道のりが楽しいことにさえ思えてきた。
さて、17時過ぎ、無事に倉敷に戻り、前日に目をつけていた喫茶店へ入る。
何やら店の奥様は仲間とともにシャンソンの練習中。
ブレンドコーヒーをいただきながら、今日を振り返って写真を見直す。
え?!……………………
へ?!……………………
白い………………………
広兼邸、露出オーバーなり チーン
写真は白くとんでいた。
脱力…
そう、原因は途中に寄り道した鉱山。
暗い洞窟の中で明るく撮るために、数値を変えていたのだ。
が、外へ出て、この先30分かかるという言葉にうろたえ、数値を戻すのをすっかり忘れていた。
だが、辛うじて小型のデジカメで動画は撮ってある。
ななめ上から、自分と多治見家を写しこんだりもした。
もうそれでいいではないか―
なんてったって八つ墓村だもの。平和には終わらないのよ(笑)
晩御飯にやきとりをいただき、岡山最後の夜を惜しみながら就寝。
次の日は午前中倉敷民芸館→岡山市へ移動→昼食→岡山城(チラ見)→後楽園(覗き見)
という忙しいコースだった。
次に来るなら獄門島コース、3泊4日はほしいねと話しながら、夕方の便で東京へ。
ここで後日談
露出オーバーで真っ白だった多治見家バックの写真がこれ。
もうどうにもならない。
…と思いきや、
復元できた
良かったー
データの保存方法によってはこんなことが可能なのだ。
ちゃんと山本陽子の位置に立ち、バックには多治見家が写ってる。
ただ、よーく見ると、自分の顔が死人のように青い。
もうちょっと加工しないと質の良い復元にはならない。
これでは自分の顔が八つ墓村だもの(笑)
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