以前ブログにも登場したレンタルDVD屋さんが、2月いっぱいで閉店してしまいました。
例の宝田明似のおじさんとは、あることがきっかけで気まずくなって、今年に入ってからは一度しかDVD屋に行っておりませんでした。
それというのも、昨年秋頃でしょうか、店内でわたしがDVDを選んでいるときでした。
斜め後ろに人の気配をかんじましたが、しばらくはそのまま気にせずにおりました。
わたしの後ろで棚に並ぶDVDのタイトルを目で追っているのだろうと。
ですが3分以上微動だにしないのです。
私は後ろに立つ人に違和感を感じはじめ、手に取ったDVDのパッケージも上の空に眺めている状態でした。
気持ち悪いなーとゆっくり一瞥すると、宝田おじさんではありませんか。
おじさんはエプロン姿に上着を羽織り、かばんを肩にかけ、これから休憩時間で外に出かける様子でした。
おそらく目の前の後姿がわたしであるとわかってそこに立っていただろうに、振り返ったわたしと目を合わせないで、不自然なほど棚のDVDを見つめつづけていました。
わたしはわたしで、気持ち悪くて振り返ったのに意表をつかれ、すっかり声をかけるタイミングを逃してしまいました。
わたしが正面に向き直ると、数秒後、おじさんはすーっと外へ出て行ってしまいました。
残ったわたしはDVDを手に、
(無言で立っているなんて…わたしに声をかけてほしかったのかなぁ…でも後ろに立った時点で「どーも」とか言ってくれたらふつうに挨拶できたのにな)と
ぐるぐる考えることしかできず、そのまま選んだDVDを借りてその日は帰ったのです。
それから気まずくて、おじさんのいないだろう時間を見計らって返却に行ったり、DVD屋からは自然と足が遠のいて行きました。
そして2月下旬、携帯電話にDVD屋の閉店のお知らせメールが届いて、なんだか複雑でした。
閉店に合わせてレンタルしていたDVDを安く販売するらしいので、久しぶりに行ってみることにしました。もちろんおじさんの様子も気にかかっていたからです。
当日、販売開始時間に合わせて出かけ、まずはお目当てのニューシネマパラダイスを探しましたが見つかりません。
棚をよく見ると、事前に店員さんが優先的に買ったりしたようで配置も変わり、寅さんシリーズや寺山修司関係など、すっぽりなくなっておりました。
気を取り直して置いてあるものの中から選ぶことに。
そんなこんなで戦利品は
「太陽を盗んだ男」 長谷川和彦監督 沢田研二主演
「八つ墓村」 野村芳太郎監督 渥美清主演
「双生児」 塚本晋也監督 本木雅弘主演
の三本、いずれも邦画でした。
選び終わったころには店内は人がひしめき合って、レジに30分は並んだでしょうか。
宝田おじさんは、レジで長蛇の列のお客さんに必死に対応していて、わたしには気が付いておらず、順番でわたしは別のレジへ通されました。
もう会うこともないのかな…と昨年秋の後味の悪さは薄れ、
胸のなかで おじさんさようなら とつぶやき店をあとにしました。
最近のコメント