旅行・地域

とある村

関東のとある村まで。好きな映画のロケ地を訪ねた。

この映画のロケ地はいろいろ廻りたいところがあるのだ。今回はその二箇所目。

駅から1時間弱バスにゆられ、ほとんど人が歩いていない長い道を歩いて山に入っていくと、その川はある。

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映画の主人公と同じく、裸足で川に浸かって歩いてきた。

10月ともなると、水は少し冷たい…が、撮影もちょうどこの季節だったらしいからいいのだ。

小さな滝もあってジャバジャバ落ちる音に癒される。

映画の中と同じロケーションにテンションも上がる。

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この眺めは日帰り温泉場の敷地から。

せっかくだから温泉にちょっくら浸かって、日暮れ前に帰路についた。

旬な岡山  たたり編その1 ~無計画な珍道中~

さて二日目、目指すは八つ墓村(笑)

物語のモデルになった実際の村落(津山)ではなく、野村芳太郎 監督映画の撮影場所。

「吹屋ふるさと村」、ベンガラ色の家並みが特徴の地域にあるという。

倉敷駅から伯備線で30分、最寄り駅の備中高梁駅に到着したが、バスの時間までにまだ1時間半ある。

それならばと備中松山城へ。タクシーの運転手さんが道中いろいろガイドしてくれた。

寅さんのヒロシの父(志村喬)の家として撮影された武家屋敷などもあった。

途中でタクシーを降り、息を切らして山の頂上の天守閣へ登った。

城主はほとんどこの天守閣へあがることはなく、山裾の屋敷で暮らしていたらしい。

バスの発車時刻がせまり、駅に戻っていざ吹屋ふるさと村へ。

この田舎の駅からさらに50分、バスに揺られて山奥へ進む。

横溝映画の中でもいちばん象徴的な、「八つ墓村」の多治見家、あの高台に立つ、石垣のあるお屋敷をこの目で見る日がやってきた。

岡山へ旅立った日から、八つ墓村の映画音楽が思い出せなくなっていた。盛り上がるためにも、到着するまでにはなんとか思い出したいところ。

映画の中、屋敷前の坂の途中で、“ショーケンと小川真由美の到着を待つ山本陽子の姿”が焼きついていて、その音楽を脳内で流しながら、迫力の多治見家を生で見たかったのだ。

多治見家は「広兼邸(ひろかねてい)」と言って、岡山県高梁市の保存建造物だそう。

1時間近くバスにゆられて到着した吹屋ふるさと村は、5件ほどしか店が開いておらず(そのうちふたつは郵便局と郷土館)、観光客も2~3組しかいなくて穴場すぎることに感動。

ベンガラ色の町並みに見とれながら、帰りのバスを確認すると、15時40分が最終バスであった。

早すぎる。

今日一日、この地を満喫しようと思っていたのに。

駅からの始発のバスが10時40分。12時近くに到着して、復路の最終バスまでに3時間半しかないなんて。。

村にたった2件しかない定食屋で腹ごしらえして、もう12時30分をまわっている。

定食屋でもらった「ふるさと村地図」を広げると、ベンガラの家並みの通りを中心に、端のほうに広兼邸が記されている。うん、歩いてもわけない距離だ。

(…ここで安心してしまったのがいけなかった)

まずは吹屋小学校を見学。圧巻の明治の木造小学校。おじさんに話しかけられたりする。

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今年の3月末まで、現役だったらしい。

ゆっくり、のんびり時間を過ごす。

(このときの自分に言いたい。“先を急げ”と)

地図を見ながら起伏のあるだだっ広い道を歩く。地図上で今歩いてきたベンガラ通りの縮尺からすると、広兼邸まであと15分くらいか。

それから20分くらい歩いただろうか、地図に疑問を持ち始めながら、笹畝鉱山入り口があるので、せっかくだから入る。

(このときの自分に言いたい。“だから先を急げ”と)

鉱山から出て、受付のおじさんに広兼邸への道を確認すると、

「歩いて行くの?いやーあと30分はかかるよ」

「…………」

「…………」

「…………」

どうやら、手にしていた地図は、広兼邸までの道をかなり省略して描いていたようだ。

距離も時間も何も記されてはいなかった。

早すぎる最終バスまでの残り時間は?

八つ墓村のため、多治見家のために岡山にきたんじゃないか!

ここで引き返してたまるか。

このときすでに時刻は13時40分をまわっていた。

タクシーなんてない、さらにひたすら歩くこと30分。高台に立つ感動の多治見家はついに姿を現した。

つづく